産休・育休中の「扶養」ってどうなるの?社会保険と税金の両面から解説
2025.10.01
みなさま、いつも大変お世話になっております。
FP目線でお役立ち情報を月1回発信させていただくコラム、第38回となる今回は、仙台の独立系ファイナンシャルアドバイザー法人、株式会社レバークの大竹が担当いたします。
結婚や出産をきっかけに「扶養」という言葉を意識する人は多いですよね。特に、産休・育休をとった時に「私は夫の扶養に入れるの?」「会社からのお金があるけど、扶養のままでいいの?」と疑問に思う方は少なくありません。今回は扶養について社会保険と税金の両面から整理してみましょう。
「扶養」には2つのルールがある
1. 社会保険上の扶養
健康保険の制度。年収130万円未満(月108,333円未満)が目安。
2. 税法上の扶養
所得税・住民税の制度。配偶者控除や配偶者特別控除で節税できます。
同じ「扶養」でも基準が違うので、混同しないことが大切です。
社会保険の扶養は「年収130万円未満」
社会保険上の扶養に入れる条件は、原則として「年収130万円未満(60歳未満の場合)」です。ただし、産休中に支給される「出産手当金」や育休中の「育児休業給付金」は収入とみなされるため、扶養に入ることはできません。そのため、産休・育休を取得している期間は、夫の扶養に切り替えるのではなく、自身の社会保険に加入し続けることになります。
税金の扶養は「103万円」「201万円」が目安
• 配偶者控除:妻の給与収入が103万円以下
• 配偶者特別控除:妻の給与収入が201万円以下
「出産手当金」や「育児休業給付金」は非課税なので、収入に含めません。そのため、育休で給与収入が大きく減った年は、夫の税金で控除が受けられる場合があります。
よくあるケース別シミュレーション
ケース①:産休だけ取得(約2か月前後)
• 社会保険
出産手当金を受け取るため、自分の社会保険は継続。夫の社会保険扶養には入れません。
• 税金
年間給与収入はそこまで減らないため、税金上の扶養(配偶者控除)は対象外になることが多いです。
ケース②:産休+育休を1年取得
• 社会保険
産休で出産手当金、育休で育児休業給付金を受給。いずれも夫の社会保険扶養には入れません。
• 税金
給与収入はほとんどゼロになるため、年間給与収入が103万円以下に収まれば、夫が「配偶者控除」を受けられます。
ケース③:育休を2年取得し、途中でパート復帰
• 社会保険
給付金を受け取っている間は社会保険扶養に入れません。復帰後のパート収入が少なく、年間給与収入が130万円未満なら、その時点で社会保険扶養に切り替えられる可能性があります。
• 税金
税金上は、パート収入が103万円以下なら配偶者控除、201万円以下なら配偶者特別控除が受けられます。
ケースによってパターンはさまざま
社会保険については、産休・育休中は「出産手当金」や「育児休業給付金」が収入とみなされるため、夫の扶養に入ることはできません。一方で、税金面ではこれらの給付金は非課税扱いとなります。そのため、給与収入が103万円以下であれば配偶者控除が、201万円以下であれば配偶者特別控除が適用される可能性があります。ケースによっては控除を受けられるため、年末調整の際に必ず確認しておくことをおすすめします。
なお、実際の取り扱いは勤務先の就業形態や自治体・健康保険組合の判断によって異なる場合があります。疑問に思ったときは、会社の人事担当者や税理士に相談してみると安心ですよ。
地元仙台のお金のプロである株式会社レバークでは、家計の見直しや効率的な貯蓄の方法、保険や資産形成のアドバイスを、中立的な立場からサポートしています。産休・育休中の扶養についての疑問や税金のことなど、ライフステージに応じたご相談も可能です。「今の家計のままで大丈夫かな?」と感じたら、ぜひ一度プロのファイナンシャルプランナーにご相談ください。